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東京高等裁判所 昭和54年(行コ)39号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取消す。本件を新潟地方裁判所に差し戻す。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張並びに証拠の関係は、次のとおり付加・訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

(原判決の訂正)

原判決につき次の誤欄の文言を正欄の文言のとおりに訂正する。

丁数

表裏

行数

誤

正

二

裏

四

一二

〇、八一メートル

同年

〇・八一メートル

昭和四八年

三

三

表

裏

一

六

一〇

一二

ILS

一〇〇

一一機

七九条三号

ILS(計器進入方式)

一〇〇型

一一型機

七九条一項三号

四

四

表

裏

一

七

一〇

一三

一〇

着陸帯B

条約との

滑走路B

最大離陸滑走

二、〇二〇メートル

着陸帯Bの幅

条約及び同条約の

滑走路Bの長さ

最大離、着陸滑走

長さ二〇二〇メートル

六

表

九

本件訴

本件訴え

七

七

表

裏

九

一〇

投影

七九条三号

鉛直投影

七九条一項三号

八

八

表

裏

四

七

一〇

三

第七九条第三号

第七九条第三号

第七九条第三号

九九条

七九条一項三号

七九条一項三号

七九条一項三号

法九九条

一〇

一〇

表

裏

一三

九

七九条第三号

滑走路B

七九条一項三号

滑走路Bの長さ

一一

一一

表

裏

一一

法九九号

行なう

法九九条

行う

一二

表

一〇

行な

行

一三

一三

表

裏

三

一三

定期航空会社

七九条三号

定期航空運送事業者

七九条一項三号

一四

表

一二

本件訴

本件訴え

一六

一六

表

裏

一

三

本件訴

投影面

本件訴え

鉛直投影面

一七

表

三

耐えず

絶えず

一八

一八

表

裏

一一

七

一一

一二

七九条

公示

設置しまた

法三九条一号

七九条一項三号

告示

設置し又は

法三九条一項一号

一九

裏

七

七九条

七九条一項

二〇

二〇

表

裏

二

七

一

二条五号

七九条三号

標点は〇、八一

二条五項

七九条一項三号

標高は〇・八一

二一

二一

表

裏

三

八

五

五

航空機運行者

同条一項

AIP

滑走路B

航空従事者

同条一項一号

AIP(航空路誌)

滑走路Bの長さ

二二

二二

表

裏

一一

三

七九条

幅三〇〇

七九条一項三号

幅を三〇〇

二三

裏

四

本件訴

本件訴え

二四

裏

二

五

投影面

(別紙説明図参照)

鉛直投影面

削除する。

(主張)

一  控訴人

1  新潟空港の施設である着陸帯B並びに滑走路Bは、いずれも違法な状態を継続しながら供用されているものである。

すなわち、

(一) 原判決は、着陸帯Bのランウエイ一〇側の短辺の幅が、航空法施行規則(以下「規則」という。)七九条一項三号の規定する基準に適合していないが、それを補う特別の理由があると認められる場合に当たるから、適法であるとするのであるが、その判断は誤りである。

すなわち、前記基準に満たない事由がある場合は、被控訴人は、航空法(以下「法」という。)五五条の二第二項において準用する法三八条三項による告示(本件においては、昭和四六年八月六日運輸省告示二八八号)並びにその掲示に当たつて、基準に満たない状態を図面等で明確に表示すべきである。それは、被控訴人が、法三九条一項の規定に基づき、法三八条一項の許可申請を審査するに当たつて、その申請が規則七九条一項各号の基準に適合しているかどうかを審査しなければならないからである。そして、構造上の基準に満たない部分は、法三九条二項に定める公聴会、法四〇条及び法四六条に定める告示において、表示されるべきである。基準に満たない特別の事情が供用開始後に発生したとの理由で、その欠陥状態のままの供用が許されるべきではないし、仮に構造上の欠陥が補われる条件で供用が許されるものとしても、少なくとも法四〇条後段の規定による告示はなされるべきである。しかし、被控訴人は、右各法条に定める告示等において、施設の構造に所定の基準に満たない部分があることを表示しなかつた。したがつて、被控訴人の右のような不作為と着陸帯B等の供用は、いずれも違法である。

(二) 被控訴人は、昭和四七年九月二五日、法五五条の二第二項において準用する法四六条に基づき、運輸省告示第三六一号をもつて、新潟空港の施設変更について告示をした。そして、被控訴人は、昭和四八年五月二〇日、ノータム第四三号、第四四号により、同年六月一五日から滑走路Bへの計器進入方式の運用を開始したが、計器進入方式の運用のための着陸帯Bの短辺の幅が三〇〇メートル以上なければならないことは、規則七九条一項三号に規定されている。

しかし、被控訴人は、滑走路Bの供用開始に先立ち、既に昭和四六年一〇月九日の運輸省告示第三五九号において告示した第二期工事のうち着陸帯Bの幅に変更を来たしたか、あるいは同告示に係る第三期工事のうち滑走路B及び着陸帯Bの長さに変更を来たしたか、そのいずれかの理由で、法四〇条後段又は法四六条後段の規定に基づく告示をすべきであつたところ、被控訴人は、これをしなかつたのであるから、被控訴人が滑走路Bを計器進入方式の用に供していることは違法である。

(三) 原判決は、現行法令上滑走路の長さが一九〇〇メートルの飛行場に最大離着陸滑走路長が一九〇〇メートルをこえる航空機の離着陸を禁止する法令はないと判示しているが、これは誤りである。

すなわち、被控訴人は、法三八条三項の規定により着陸帯等の設置計画を告示するに当たつては、規則七六条一項七号に規定された「飛行場の利用を予定する航空機の種類及び型式」を示すことが必要とされている。被控訴人は、前記告示第三五九号をもつて、第三期工事の完了に伴い、計器用としてボーイング七二七―一〇〇型級のジエツト機の運航に供用するものとして施設変更を許可する旨を告示したものであり、その供用開始の予定期日は、第三期工事すなわち着陸帯Bの長さ二一二〇メートルの工事完了時とされたのである。しかして、空港の施設の規模と通常離着陸する航空機の機種とは、法三八条二項による許可申請の段階において、相互の関係が固定しているものであつて、この関係を保持することこそが航空保安の基本的条件である。規則七五条二項において、着陸帯の等級を九段階に区分していることは、着陸帯が航空保安上の絶対的要件であるとの認識によるものであつて、原判決には右のような法及び規則の運用と解釈を誤つた違法がある。

2  原判決は、控訴人の生命及び身体に対し差し迫つた危険があるとは認められないと判断している。しかし、新潟空港においては、その施設が違法な状態に放置されたまま、年々航空機の発着便数が増加し、その機種も多岐にわたつて大型化の傾向にある。このような状況下にあるのであるから、空港周辺における航空機事故発生の可能性を否定することは、何人にもできないことである。殊に規則に示された施設の基準は、保安のための最低基準であつて、この最低基準さえ欠いている施設は、完備した施設と比較して、保安度が低く、事故発生率が高いものというべきである。また、被控訴人は、人的諸施策をもつて空港施設の物理的欠陥を補完し得るものであると主張するのであるが、人的能力には限度があるうえ、人的過失を防ぎ得るとの保障もないのであるから、被控訴人の右の主張は失当である。

二  被控訴代理人

1  控訴人主張の1の事実は否認する。

(一) 法三八条三項に基づく告示は、飛行場を設置しようとする者から設置の許可の申請があつた場合になすものであり、告示すべき事項は、法三八条三項及び規則七八条一項に規定する事項に限られ、その他の事項(例えば設置基準に合致するかどうか)を告示する必要はない。また、法四〇条及び法四六条に基づく告示に係る飛行場は既に運輸大臣の設置許可を受けたものであるから、当該飛行場が規則七九条一項に規定する設置基準に合致していないことはあり得ず、また、告示すべき事項は、法四〇条に基づく告示については同条に、法四六条に基づく告示については同条及び規則九〇条一項に掲げられた事項に限られており、いかなる理由で設置基準に合致するか等の事項を告示する必要はない。

以上のことは、被控訴人が設置する飛行場についても準用がなされており、変わりがない。

(二) 被控訴人が昭和四七年九月二五日にした運輸省告示第三六一号は、昭和四六年一〇月九日運輸省告示第三五九号中の第二期工事に係る施設の供用開始の告示であるから、控訴人の主張は失当である。

(三) 長さ一九〇〇メートルの滑走路Bにボーイング七二七―一〇〇型機を就航させることは何ら違法でなく、控訴人の主張は失当である。

2  控訴人主張の2の主張は否認する。控訴人において緊急に差し迫つた危険があるとは認められないのである。

(証拠)<省略>

理由

当裁判所は、当審における当事者双方の主張及び立証を加味して検討しても、控訴人の本件訴えは不適法なものとしてこれを却下すべきものと判断するものであり、その理由は、次のとおり付加・訂正するほか、原判決がその理由において説示するところと同じであるから、これを引用する。

一  まず、原判決につき次の誤欄の文言を正欄の文言のとおりに訂正する。

丁数

表裏

行数

誤

正

二六

裏

一二

一三

本件訴

本件訴

本件訴え

本件訴え

二七

表

三

本件訴

本件訴え

二八

裏

八

投影面

鉛直投影面

二九

二九

表

裏

一

六

八

一〇

一

四

標高〇、

滑走路

同年

ILS

一〇〇

一一機

標高〇・

滑走路B

昭和四八年

ILS(計器進入方式)

一〇〇型

一一型機

三〇

三〇

表

裏

四

二

七九条三号

七九条三号

七九条一項三号

七九条一項三号

三一

三一

表

裏

一二

一

五

五号

設置目的は、

Bの場合

五項

着陸帯は成立に争いのない甲第一一号証の二及び

Aの場合

三二

三二

表

裏

四

六

七

八

四

四

一二

計器進入

ILS

五三フイート

場合は

計器飛進入方式

制限して

計器飛行用

計器進入方式において

ILS(計器用着陸装置)

五〇フイート(飛行場標高が三フイートある。)

場合は、その間の滑空距離において

計器進入方式

規制して

計器進入方式用

三三

三三

表

裏

三

三~四

五

七

B滑走路ランウエイ10の末端

B滑走路ランウエイ28の末端

B滑走路ランウエイ10

七九条三号

滑走路B一〇の末端(過走帯との間の境界)

滑走路B二八の末端(過走帯との間の境界)

滑走路B一〇の末端

七九条一項三号

三四

三四

表

裏

五

七~八

九~一〇

一一

成立

三〇〇メートルの地点から四〇〇メートルの地点にかけて

一五〇〇メー地点附近

その幅は

原本の存在及び成立

三五〇メートルの地点

一五一〇メートルの地点

事実上の着陸帯として幅

三五

三五

表

裏

一二

四

八

幅七五メートル

七九条三号

計器用着陸

幅一五〇メートル

七九条一項三号

計器進入方式による着陸

三六

三六

表

裏

三

一二

二

四

九

一三

四月一日にする

六月

乙第六号証

にする

甲第一八

(正当な理由

四月一日とする

六月一五日

成立に争いのない乙第六号証

に拡張する

控訴人本人尋問の結果により成立を認める甲第一八

(被告の許可を要する飛行場にあっては、正当な理由

三七

表

一

九

一二

工事の許可

及び

同式七二

施設設置の許可

、乙第六号証及び

同式七三

三八

三八

表

裏

一

三

九

九

一一

六

七

一三

B滑走路

について

成立

第四

B滑走路長

以下同じ)は

指定書の制度

B滑走路長

滑走路B

の有無について

原本の存在及び成立

第四号証の一ないし三

滑走路Bの長さ

以下同じ。)については

の指定制度

滑走路Bの長さ

三九

三九

表

裏

一三

一二

飛行機運用規程

B滑走路

当該航空機の運用規定

滑走路B

四〇

四〇

表

裏

一

五

九

一二

使用される

定期航空会社

B滑走路

第一〇号証の一、二

使用されることもある

定期航空運送事業者

滑走路B

第一〇号証の一ないし三

四一

表

三~八

一一

「ボーイング式」から「一、四六〇メートルであるが」までを下記のとおりに改める。

第一〇号証の一、二

ボーイング式七二七―二〇〇型にはデイ一五型とデイ九型と呼ばれる二種類のものがあつて、前者の最大離陸滑走路長は二六五〇メートル、最大着陸滑走路長は一五八〇メートルであるが、後者のそれはいずれも右の数値より短かいものであり

第一〇号証の一ないし三

四二

四二

表

裏

四

三

B滑走路

航空事業会社

滑走路B

航空運送事業者

四三

裏

二

不適法な訴

不適法な訴え

二  控訴人は、新潟空港の施設(着陸帯B)に規則七九条一項各号の規定する基準に適合しない事由がある場合には、被控訴人は、法五五条の二第二項において準用する法三八条三項、同四〇条、同四六条の各規定に基づく告示及び掲示に当たつて、右基準に適合しない事由を明確に表示すべきであり、また、法三九条二項の規定に基づく公聴会を開催するに当たつても右の事由を公示すべきであつたのに、被控訴人は、これまで右の事由を告示したこともなく、掲示等をしたこともなかつたのであるから、被控訴人が、右のような基準に適合しない事由を告示及び掲示等をしないで着陸帯Bを公共の用に供していることは違法であると主張する。

しかし、法三八条三項、同四〇条及び同四六条の各規定に基づく告示及び掲示において告示及び掲示をすべき事項は、右各法条並びに規則七八条一項二項、同九〇条一項二項及び同九一条の各規定に明示されているうえ、法三九条二項の規定による公聴会の開催に当たつて公示すべき事項は、規則八一条一項に明示されているのであつて、規則七九条一項各号の規定する基準に適合しない事由を告示、掲示又は公示すべきものであると定めた規定は見当たらない。したがつて、被控訴人が、控訴人の主張するような事由を告示、掲示又は公示しないで着陸帯Bを公共の用に供しているとしても、被控訴人の所為には何ら違法な点がないものというべきである。

三  控訴人は、被控訴人は、運輸省告示第三六一号をもつて滑走路Bの供用を開始するに先立つて、運輸省告示第三五九号により告示した事項につき、法四〇条後段又は同四六条後段の各規定に基づく所定の告示をすべきであつたのに、右の各告示をしなかつたのであるから、被控訴人のした滑走路Bの供用開始は違法であると主張する。

しかし、成立に争いのない甲第二ないし第五号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第二五、第二六号証によれば、次の事実を認めることができる。

(一)  被控訴人は、昭和三七年六月一日、運輸省告示第一七八号をもつて、新潟空港の施設を変更するので法五六条二項において準用する同四〇条の規定に基づき告示するとして、着陸帯Bの長さを一三二〇メートル、幅を一五〇メートルとし、供用開始の予定期日を昭和三八年四月一日とする旨を告示したこと。

(二)  被控訴人は、昭和三八年一〇月一日、同告示第三二八号をもつて、同空港の施設を変更したので、当該施設の供用開始期日について法五六条二項において準用する同四六条の規定により告示するとして、飛行場の設備の概要につき、着陸帯Bの長さを一三二〇メートル、幅を一五〇メートル、滑走路Bの長さを一二〇〇メートル、幅を三〇メートルと告示したこと。

(三)  被控訴人は、昭和四三年七月二日、同告示第二〇二号をもつて、同空港の施設を変更するので法五五条の二第二項において準用する同四〇条の規定により告示するとして、着陸帯Bの長さを一六二〇メートル、幅を三〇〇メートルとし、供用開始の予定期日を昭和四七年四月一日とする旨を告示したこと。

(四)  被控訴人は、昭和四六年一〇月九日、同告示第三五九号をもつて、同空港の施設を変更するので、法五五条の二第二項において準用する同四〇条の規定に基づき告示するとして、変更しようとする事項(変更前の事項については右告示第二〇二号参照)につき、(イ)第一期として、着陸帯Bの等級をD級、長さを一六二〇メートル、幅を一五〇メートルとし、供用開始の予定期日を昭和四七年四月一日とする旨、(ロ)第二期として、着陸帯Bの等級をC級、長さを二〇二〇メートル、幅を一五〇メートルとし、供用開始の予定期日を同年一〇月一日とする旨、(ハ)第三期として、着陸帯Bの等級をC級、長さを二一二〇メートル、幅を三〇〇メートルとし、供用開始の予定期日を昭和四八年六月一日とする旨を告示したこと。

(五)  被控訴人は、昭和四七年三月三一日、同告示第一〇五号をもつて、同空港の施設に変更を加えたので、法五五条の二第二項において準用する同四六条の規定に基づき告示するとして、変更した施設の概要(変更前の事項については右告示第三二八号参照)につき、着陸帯Bの等級をD級、長さを一六二〇メートルとし、滑走路Bの長さを一五〇〇メートル、幅を四五メートルとし、供用開始期日を同年四月一日とする旨を告示したこと。

(六)  被控訴人は、昭和四七年九月二五日、同告示第三六一号をもつて、同空港の施設に変更を加えたので、法五五条の二第二項において準用する同四六条の規定に基づき告示するとして、変更した事項(変更前の事項については右告示第三二八号及び告示第一〇五号参照)につき、着陸帯Bの等級をC級、長さを二〇二〇メートルとし、滑走路Bの長さを一九〇〇メートルとし、右変更した施設に係る供用開始期日を同年一〇月一日とする旨を告示したこと。

したがつて、右の事実によれば、被控訴人のした運輸省告示第三六一号による告示は、同告示第三五九号において第二期として掲げられた着陸帯B(等級C級、長さ二〇二〇メートル、幅一五〇メートル)及び滑走路B(長さ一九〇〇メートル)に係る供用開始の告示であるものというべきであるから、控訴人の前記主張は当を得ていないものであることが明らかである。

四  控訴人は、空港の施設の規模と当該空港に離着陸する航空機の機種との相互関係は、法三八条二項の規定による許可申請の段階において既に固定的に規制されるものであり、新潟空港の着陸帯Bにおいては、第三期工事の完了すなわちその長さが二一二〇メートルに達しなければ、計器用ボーイング七二七―一〇〇型級の航空機を発着させることは許されるべきでないと主張する。

ところで、陸上飛行場については、規則七五条二項において、着陸帯の等級を、滑走路の長さにより、A級からJ級までの九段階に区分する旨規定し、規則七九条一項三号において、特別の理由があると認められる場合を除き、着陸帯の等級(A級ないしJ級)別に同号の表に掲げる規格に適合した滑走路、着陸帯及び誘導路を有するものであることが必要である旨規定しているところ、他方、規則七六条において、法三八条二項の規定により飛行場の設置の許可を申請しようとする者は、飛行場設置許可申請書に、「飛行場の利用を予定する航空機の種類及び型式」を記載することを要し(規則七六条一項七号)、更に「公共の用に供する飛行場にあつては、一年間に利用することが予想される航空機の種類、型式及び数並びにその算出の基礎を記載した書類」を添附することを要する(同条二項六号)旨規定しているうえ、規則七九条一項四号において、陸上飛行場にあつては、滑走路、誘導路及びエプロンがこれらを使用することが予想される航空機の予想される回数の運航に十分耐えるだけの強度を有するものであることが必要である旨規定していることに照らせば、当該陸上飛行場における着陸帯及び滑走路の規模と同飛行場において運航の用に供されるべき航空機の種類及び型式との相互関係は、法三八条二項の規定に基づく飛行場設置許可申請の段階から既に規制されているものということができ、右のような相関関係を維持することは、保安上の基本となるべきものということができる(法五五条の二第二項、同四七条一項、規則九二条一号)。

しかし、成立に争いのない甲第一号証の一、乙第八号証の一ないし三、証人山形忠武の証言及び弁論の全趣旨によれば、当該空港における着陸帯及び滑走路の規模と運航の用に供されるべき航空機の種類及び型式との相関関係は、当該航空機の諸元表として公表されている最大離陸重量、離陸滑走路長及び着陸滑走路等の各数値を基準として形式的に定められるべきものであるといえないこともないのであるが、単に諸元表の数値のみによつて定められるものではなく、運輸省航空局は、運航の用に供される航空機につき、その種類及び型式ごとに運用規定(オペレーテイング・マニユアル)を認可し、運用規定は、その運用限界(この項目には重量及び離着陸限界、対気速度限界等が含まれる。)等を具体的かつ詳細に規定しているのであつて、当該航空機の運航の安全は、右運用規定を遵守することによつて確保される制度になつていることを認めることができるのであるから、諸元表の数値において離陸滑走路長が一九〇〇メートルをこえる航空機は、すべて滑走路の長さが一九〇〇メートルにとどまる空港において離着陸を行うことは許されないものであるということはできないのである。

そして、新潟空港の長さが一九〇〇メートルの滑走路Bに、諸元表の数値において最大離陸滑走路長が一九〇〇メートルをこえるボーイング七二七―一〇〇型級の航空機を離着陸させても、これを違法視すべきでないことは、原判決がその理由の四の3、4(原判決三八丁表初行から四〇丁裏一一行目まで)において説示するとおりである。したがつて、控訴人の前記主張も失当であり、これを採用することができない。

五  また、控訴人は、当審においても種々の理由を掲げて、新潟空港の滑走路Bに離着陸する航空機が、控訴人の生命、身体に対し差し迫つた危険を生じさせていると主張するのであるが、当審において調べた証拠を考慮に入れても、控訴人の右主張事実を認めるに足りる証拠はないものというべきであり、その理由は、原判決がその理由の三ないし五(原判決二九丁裏末行から四三丁表末行まで)において説示するとおりである。

六  以上の次第であつて、仮に被控訴人において控訴人の主張するような事業計画認可の行政行為をする場合があるとしても、その行政行為が一見明白に違法であるということはできないものというべきであり、かつ、その行政行為がされることにより控訴人に生ずるであろう被害(生命及び身体に対する危険等)に重大性又は急迫性があるということもできないのであるから、被控訴人のなすであろう行政行為につき事前に差止めを求めるという控訴人の本件訴えは、不適法なものとして許されないものというべきである。

したがつて、控訴人の本件訴えを不適法なものとして却下した原判決は相当であり(なお、原判決は、その主文第一項において本訴請求を却下する旨表示しているが、その趣旨は、本件訴えを却下する旨と同旨に解すべきものである。)、本件控訴は理由がないから、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 杉田洋一 蓑田速夫 加藤一隆)

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